ガザ地区:100日間の人々の死、破壊、および避難(フィリップ・ラザリーニ事務局長より)

2024.1.15
2024.1.15

UNRWAフィリップ・ラザリーニ事務局長より: 

2024年1月13日ガザ地区 

これまでの100日間の多くの死、破壊、避難、飢餓、喪失、そして悲しみは、私たちに傷跡を残しています。 

壊滅的な戦闘が始まってから100日が経ちました。ハマスおよび他のグループがイスラエルの人々に対して行った恐ろしい攻撃と同時に、ガザ地区では人々の死や避難を強いられる状況となりました。人質とその家族にとっては100日間の試練と不安の日々です。 

過去100日間、ガザ地区全域への持続的な空爆によって、一時的に人口の多くが安全といえない場所に立ち退かざるを得ない状況が引き起こされました。これは1948年以来、パレスチナ人にとって過去最大の避難を強いられた状況です。この戦闘はガザの全人口、200万人以上に影響を与えました。多くの人々がこの先生涯苦しむような身体的および心理的な傷を負っています。ガザ地区のほとんどの人々や子供たちは、深いトラウマを負っています。 

過密で不衛生なUNRWAの避難所は現在、140万人以上の人々の「家」となっています。彼らは、食べ物から衛生、プライバシーなど、何もかもがありません。人々は非人間的な環境下で生活し、病気が蔓延し、特に子供たちの間で広がっています。彼らは生活ができないような状況を生き抜いていますが、それと同時に飢餓へのカウントダウンは、速いスピードで進んでいます。 

ガザの子供たちが置かれている、危険で困難な状況には特に心を痛めつけられます。子供たちの世代全員がトラウマを受け、癒えるには数年かかるでしょう。何千もの子供達が死亡し、傷を負い、孤児になりました。何十万人もの子供たちが教育の機会を奪われました。彼らの未来は危機に瀕しており、長きにわたって続く影響があります。 

ガザの危機は人為的災害であり、人間性を否定するような発言や、食糧、水、燃料などが戦争の道具として利用されることで状況は一層悪化しています。また、非常に煩雑な人道支援物資の搬入手続き、戦闘の継続など物資配給の安全・統率性に対する無数の障害に主に起因し、この地での人道支援は急速に世界で最も複雑で困難なオペレーションとなりました。人道支援物資自体も、迫りつつある飢餓を避けられるほどの十分な量を確保できていません。商業物品の流入も許可されなければなりません。 

一般市民を保護し戦闘のあり方を規制するはずの国際人道法は、しばしば無視されています。市民や、病院・UNRWA施設の避難所を含む非軍事施設はこの3ヶ月間で度々攻撃され、数百万人の死者と数千人の負傷者を生みました。UNRWA施設は常に保護されるべきであり、市民に対する保護の提供を全うしなければなりません。また、いかなる勢力によっても軍事利用されてはなりません。 

度々の呼び掛けにもかかわらず、人道的戦闘停止は未だ実現されず、ガザの人々の殺害、食糧や医薬品、水、避難所などの安全な提供はできていません。冬が到来した今、特に野外で避難する人々の生活は一層耐え難い状況です。 

私自身のUNRWA同僚146人を含む人道支援者は、その他医者、ジャーナリストや子どもたちと共に殺され、誰一人として代わりのある人などいません。全ての居住地区、宗教施設、歴史的建造物は破壊され、何世紀に渡る歴史と文明と人々の記憶が壊滅しようとしています。 

ガザ地区の人々にとって、この100日間は100年のように感じられました。 

今こそ、人間の生命の価値を取り戻す時です。 

原文(英文)はこちらからご覧ください。

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